イギリス、そして日本からケンネルに新しいコーギーが加わりました

この度ケンネルに新しいメンバーが加わりました。二頭のオス犬を迎え入れるまでの道のりがあまりにも長かったので、その話はまたぼちぼちとブログアップの予定ですが、まずは我が家の新入り二匹の男の子の紹介をさせて頂きます。

9月25日、関空でプリンス(イギリスの親元が付けてくれた名前)と初めて対面した後、長旅のストレスを癒してあげようと我が家近くの海ふれドッグランへ行き撮った写真です。ドッグショーにも出ていた子なのでちゃんとステイポーズも決めてくれます!(^^)!
プリンス海ふれ2-min

彼の故郷は、イギリスの西南に位置するペンブロークシャー州、まさにウエルシュコーギー・ペンブローク発祥の地という何か運命を感じさせる場所でもありましたが、イギリスは狂犬病発症国なので犬を輸入するには接種後半年間の経過観察の措置が必要となります。

なので生後4か月でワクチン接種後、抗体検査をパスして日本に受け入れる頃には生後10か月という、外見上はもうどう見ても成犬になった姿でしか受け取ることはできないという法律です。
プリンス海ふれ1-min

生後2カ月頃と生後4か月頃のプリンスです。プリンスを迎えることが決まってから、こうしてイギリスのケンネルから写真が送られてくることが本当に嬉しかったですね。
プリンス子犬IMG_1693-min

足やマズルの太さに将来有望であることを実感できました。
プリンス子犬2IMG_1803-min

我が家に着いて翌日の写真。プリンスと一緒に海を渡ってきたブリーダーからプレゼントされたタオルと記念撮影。犬舎名の入ったタオルはイギリスで開催される世界的なドッグショークラフト展で入賞した犬にのみ与えられる貴重なものです。
プリンスとタオル-min

↓プリンスの血統図です。ご興味のある方は拡大してご覧ください。彼の母犬の父、つまりプリンスの祖父犬はアメリカで開催させる世界のトップレベルの犬が集まるウエストミンスターショーのBOB犬です。

ウエストミンスターで犬種の一席になるということは全米というか世界のコーギーの頂点であるといっても過言ではないほど価値ある経歴なのです。そんな素晴らしい祖父の血がプリンスに受け継がれていることは本当に名誉なことだと思います。
プリンスのイギリスから届いた血統書

プリンスのことはまだまだ紹介していきたい話がたくさんあるのですが、今日はこれくらいにしておきます。またこれからのブログアップをお楽しみに。そしてもう一匹のニューフェイス、コールネーム バーリーくんの紹介もいたします(^^♪

出産情報と同じ写真になりますが・・・バーリーもまだまだ我が家に慣れないことも多くて、どこかきれいな自然の中で写真を撮ってあげたかったのですが、万が一逃げ出したりしたら大変なので、また先で素敵な写真を撮りたいと思います。バーリー我が家の勝手口なんかで写してごめんね(T_T)
バーリー1-min

バーリー2-min

バーリーはプリンスが我が家にやってきた翌日の9月26日に、前日は関空、翌日は大阪伊丹空港の貨物受け取りカウンターへと大忙しの末にご対面となりました。実は彼は昨年末に我が家のさんごの交配大作戦の挙句に受胎を失敗してしまったお相手のコーギーだったのです。

さんごの交配の頃バーリーは千葉の某ハンドラーさん宅に在舎しており、さんごもそこへ送って交配に臨んだのですが、その後バーリーは出身ケンネルへ戻っていて、まさにそのタイミングで我が家が交配の申し込みをしたという経緯がありました。

そしてバーリーを我が家へ向かえ入れる話が急に決まり、私もその話が持ち上がった時にやはり交配犬を送っての本犬のストレスを考えたら、交配はできれば我が家で行った方が良いかもということで決断となりました。

バーリーは今生後1歳半、若いエネルギーで子供をたくさん作っており、さんごは残念ながら受胎しませんでしたが、もしかしたら我が家で交配ができればお嬢様さんごのストレスが軽減されて今度は・・・という期待も生まれています。

バーリーも加わり、一気にオス犬率の高まってしまった我が家ですが・・・ここで大事なお話をしようと思います。前々から機会があればブログアップしたいなあと考えていた話題です。

それは通称DM、正式な医学名はDegenerative Myelopathy、日本語訳は変性性脊髄症といわれている病気です。コーギーを飼育されている方ならばほぼこの病気のことについてはご存じのことと思います。

日本のコーギーにおいてはこの病気の発症率が非常に高いことがわかっています。皆さまも後ろ足が麻痺してしまって犬用車椅子を使って歩行しているコーギーを目にしたことがあるのではないでしょうか。

この病気の恐ろしい点は後ろ足の麻痺で終わらない点です。ヘルニアとは根本的に異なり、神経が集中している脊髄が侵されることによりその麻痺はどんどん体全体を蝕んでいき平均2年ほどで呼吸器にまで麻痺が生じて死亡します。

痛みはないので、後ろ足の麻痺が始まっても麻痺が後ろ足にとどまっている間は元気で食欲もあり、車椅子を使用すれば普通にお散歩もできます。しかしそれはやがて必ず終わりがきて、治ることは今の医学では不可能とされています。

麻痺が前足にも移行して、ほぼ寝たきり状態になると排泄や食事の世話などオーナーさまのご負担も目に余る状態になる場合があります。愛犬の為ならそんな苦労は何でもない、ほとんどのオーナーさまがそう考えることでしょう。

始めに戻りますが、日本のコーギーにおいてこのDMの発症率が非常に高いのはなぜか。それはこの病気が明らかに遺伝性疾患であり、遺伝子を無視した繁殖により病気を発症することが今では医学的に証明されています。

DMの遺伝子には三つの型があります。クリア、キャリア、アフェイクテッド(あるいはアットリスクと呼ばれる場合あり)この三つの遺伝子の型のうち、クリアあるいはキャリアであれば、将来的にDMを発症することはありません。

アフェイクテッドは統計的には発症率は約50パーセントと言われています。つまり2匹に1匹が発病してしまうわけです。日本においては過去にCMなどの影響下で人気犬種となったコーギーはその頃から一気に飼育頭数が増えました。

よって2匹に1匹かそれ以下の発症率であっても、飼育頭数の多さを考えるとやはりかなりの頭数において発症が認められてしまう結果となってしまったのです。因みにクリアの遺伝子を持つ個体は全ての頭数の17パーセント以下という統計が出ています。

ですからこの現状を打開するには、日本における全てのコーギーがキャリア以上の遺伝子の型をもち、繁殖をする場合はそのペアのどちらかがクリアの遺伝子を持つこと、それこそがこの病気を根絶する唯一の方法なのです。

字にするといとも簡単なことのように思われるかもしれません。しかし現実には繁殖に使われているコーギーたちの中にクリアの遺伝子を持つコーギーはほぼいないという悲しいことが起きてしまっています。

この現実を突き付けられた日から、ブリーダーである私は本当に悩みぬきました。見て見ぬふり、あるいは犬質向上の為にあえて目をつぶる。その選択をする気持ちには病気の犬を持ったオーナーの気持ちを考えるととてもなれませんでした。

病気はDMだけではない、世の中には治らない病気なんていくらでもある。第一DMになる前に他の病気で亡くなることだってあるじゃないか。確かに最近は癌の発症も多くなっていますし、そう考える方はたくさんいらっしゃることでしょう。

確かにそうです、その通りです。しかしだからといってそれがDMの問題に取り組まないで良いことには決してなりません。この先医学が進歩していき一つでも多くの不治の病が解明されていくことでしょう。

ブリーダーならその医学の進歩と並走し、発病を避けられることができるのならその努力はするべきだと思います。本当に長い話になってしまいましたが、今回我が家に迎えることができたオス二匹はDMの遺伝子がクリアです。

縁あって我が家の一員となったこの二匹のコーギーで繁殖を続ける限り我が家から産まれてくる子犬にDMの発症はありません。何回も申しますが、病気はDMだけではありません。しかし少なくともDMにはならずに済む。

生きている最後の日まで自分の足で歩くことができる。ただそれだけのことなのです。だらだらと述べてしまいましたが、最後までお付き合い下さった皆さまありがとうございましたm(__)m

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ