コーギーの仕付けについて

 

しつけの基本

運動が大好き遊びが大好きなコーギーたちですが、散歩の時間、量、コースを毎日同じにしていると、もし、そのパターンが崩れた時に不安を感じて「要求吠え」してしまうことがあるかもしれません。

最近当犬舎のコーギーの飼育を始められたお客さまで、お散歩デビューするようになってしばらくして、いつもと違うコースを行こうとすると「座り込んで動かなくなって困ってしまった。」ということをお聞きしました。

我が家の場合は多頭飼育なので、コーギーたちも私の愛情が決して自分だけに向けられているものとは認識していません。群れのボスである私の気分しだいで、お散歩の時間もコースも変わることに何の意義も訴えないので、これは「多頭飼育のメリット」です。

しかしほとんどのオーナーさまは可愛いコーギーたちとの「1対家族」というパターンが多いようなので、飼い主をお世話係りと勘違いしている場合があります。そういう場合はまずコーギーたちとの主従関係から見直していかないといけません。

飼い主がちゃんとリーダーシップをとれていれば、コーギーたちはお散歩のコースが変わっても、開始の時間が変わっても文句は言いいません。イコール、言うことをきかなかったり、要求吠えする、ということはなくなるはずです。

大事なのはコーギーたちとの生活をワンパターン化しない、飼い主がリーダーシップをとれているかです。コーギーは非常に頭が良い、賢い犬種ですので、自分がリーダーであると勘違いさせないことがしつけの一番大事な点ではないでしょうか。

このような主従関係に関するしつけができていれば緊急時、万一避難しなければいけないときでもコーギーたちはパニックを起こすこともなく、避難先でも要求吠えも最小限にすることが可能となります。

もしご自分のコーギーが散歩の時間だよ、ごはんの時間だよといって吠えて飼い主に知らせているような場合は、是非もういちど愛犬との主従関係から見直してみてほしいと思います。ではそもそも主従関係とはいつから生じしてしまったのか、ということについて少しお話します。

ペンブロークのパピーを迎えたら、その日から家族の一員としての生活が始まります。ではコーギーたちとどのようにコミニュケーションをとったらいいでしょうか。彼らは言葉を話せるわけではないので、お腹がすいているのか、喉がかわいているのかは、注意深く観察して、そのサインを見逃さないようにするしかありません。

そして、私たちは彼らを犬と思っていますが、コーギーたちは私たちのことを人間だとは思っていません。ただ同じ群れの仲間だと認識しているだけです。ですから下手に甘やかして育ててしまうと、人間の方が自分たちより下なんだと都合よく考えるようになります。

そして彼らの方から命令してくるようになるのです。お腹がすいたらから、食べるものを持ってこい。散歩に行きたいから外に連れ出せ。甘えたいからかわいがれ・・・これを言葉で言われたら、何をえらそうに言ってるんだと多分だれも相手にはしないでしょう。

しかし彼らは言葉の代わりに鳴き声で要求してきます。俗に言う無駄吠というやつです。しかしコーギーたちから言わせれば、無駄なことはひとつもない、ちゃんと上位のものが、下位のものへの意思を伝達しているんだということになってしまいます。

こうなってしまってから慌ててもなかなか正しい方向へ戻すのは難しくなります。上下関係、これがコーギーたちとの生活を楽しいものにするポイントとなるのです。ではコーギーたちとの上下関係を正しく決めるにはどうすればよいか。

答えは、パピーたちの母犬となることです。母犬は母乳を仔犬に与えますが、仔犬に乳歯が生え始め、爪も発達してきた状態で母乳を飲もうとすると、怒って威嚇し、軽く噛んだりして仔犬たちは悲鳴をあげることがあります。

この時期がちょうど離乳期にあたり、母犬からこのようにされると2.3日のうちにも仔犬たちは母犬の母乳を飲まなくなり、しっかりと離乳食を食べるようになっていきます。餌をしっかりと食べれるようになった仔犬たちは活動的になり、母犬にもじゃれついて、咬んだりします。

しかしここで逆に母犬に抑え込まれてまたまた悲鳴をあげることになります。そしてこの行動こそが上下関係になるのです。これを真似ることが、ペンブロークコーギーたちとの正しい関係を作るヒントであると覚えておきましょう。

母犬や兄弟たちから離されて、飼い主の元へやってきた仔犬は、やがて乳歯から永久歯に歯が生え変ります。このタイミングが離乳期の母犬が仔犬に接するのと同じであると考え、抜け変わる歯がかゆくてさかんに甘噛みをしてくる仔犬に対して、合図を決めて、はっきりとした口調で叱って下さい。

軽くキャンと鳴くくらい口を押えても構いません。これを繰り返すと、利口なコーギーのパピーはやがて飼い主を母犬であると認識して、自分が下であることもおのずと理解していくのです。仔犬の頃から、しっかりとした上下関係を築くこと、それがしつけの第一歩です。

 

緊急時にも必要な正しいしつけ

東日本大震災の折には、行方不明になったり家屋の倒壊により泣く泣く愛犬のコーギーを手放さなくてはならなくなったオーナーさまもたくさんいたと聞いています。災害だけはいつどこで経験するかは誰にもわかりません。

ですから日頃からコーギーたちにも災害時にも困らないしつけをしておくことは大事なのではと思います。まずこれは災害があればということ以上に基本的なことですが、愛犬が飼い主の指示にちゃんと従うことができているか、チェックしてみましょう。

日頃の散歩、食事、遊び、スキンシップなどを通して信頼関係ができているかを確認してみましょう。コーギーはおもちゃや目新しいものへの興味が非常に強い犬種ですので、その性質を利用して呼ばれたら急いで飼い主の元に戻ることを教えます。

また、おもちゃなどを使ってハウスと言われたら素直に入ること、待てと言われたら待つことなどは、緊急時には必ず必要です。また、万が一非難生活を強いられた場合でも、周りに迷惑をかけることも少なくなります。

特にクレートトレーニングを完璧にできるようにしておけば、どんな状況になろうとも、クレートの中にいれば犬も安心感を持って待機することができます。また、犬が苦手な人が近くにいても迷惑をかけずにすみます。

我が家のコーギーたちは車に乗ってお出かけする時には必ずクレートに入れるようにしています。初めは不安で鳴く子もいますが、ドッグランやドッグカフェに何回か連れて行けば、おでかけ=楽しい=クレートという方程式が出来上がります。

万一災害が起きた時も慌てない、困らない、コーギーたちの身を守るのは普段のしつけだと思って頑張りましょう。普段のお出かけの時には、写真のように車にクレートを積んて連れていき、目的地に着いたらお散歩等をして遊んであげてください。

そうすることで「クレートに入れば楽しいことが待っている」と理解してくれるはずです。くれぐれもいきなり、獣医さんに連れて行ったり何時間も中に入れっぱなしにしたりすることはおやめくださいね。

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楽しいおでかけはまずクレートに入ることから!
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コーギーと一緒のドライブ

しつけの仕上げとして、コーギーたちと一緒に是非旅に出てみて下さい。コーギーは作業犬としての性質からか、お出かけの大好きな子は多いかと思います。好奇心一杯の犬種なので、知らない土地を散策することを非常に喜びます。

最近は犬と一緒に泊まれるペンションも増えてきましたが、犬連れの旅の移動はやはり車が一番です。ここでも先にお話ししたクレートトレーニングのしつけが生かされます。繰り返しになりますがいきなり外出に慣れないコーギーと遠出をすることは無理な場合もあるかと思います。

いつものお散歩のときに、少し車に乗せて移動してから歩かせるなどの機会を作り、車に慣れさせてあげて下さい。そうして、だんだんと車に慣れてきたら、いよいよ遠出に挑戦です。一時間から一時間半くらいで車を止めて休息をとらせます。

最近の高速道路のサービスエリアは犬の為の施設が充実していて、広いドッグランがあるところも多いです。そこで思いっきり走らせてあげて下さい。但しコーギーは先ほども言いました好奇心旺盛な性格の子が多いので、そこで初めて合った他の犬にもさかんにアピールしたりするかもしれません。

しかしどんな犬でもその挨拶に応じてくれるとは限らず、中には歯を剥いて見知らぬ犬に威嚇をする子もいるかもしれません。家のコーギーちゃんはどんな子ともすぐ仲良しになれるからと、飼い主が油断することだけは避けるようにしてください。

ドッグランとはいえ、やはりルールはあります。犬同士のことだから犬同士に任せておけばいいなんていっていると、あっという間にケンカが始まって最後には飼い主同士の言い争いにまで発展して、楽しいはずの旅行が犬も人間も暗い気持ちになってしまうことがないようにしましょう。

必ず愛するコーギーたちから目を離さないようにすることです。そしていつでも合図で呼びもどしができる習慣、しつけを身につけさせておくことが、コーギーたちのとの楽しい旅にはかかせないことなので、是非頑張って実践してもらいたいと思います。

食事もしつけの一つという考えで

コーギーは食欲旺盛な子が多いと思います。チワワなど超小型犬はいつもと食べるものが違ったり、量が違うだけで食べなくなると聞いたことがありますが、そういう心配はコーギーであまりないはずです。

上で述べた緊急時においても、フードの種類食器、食事の場所など、状況が変わっても急に食べなくなることは少ないと思います。とはいえ普段から練習のつもりで、ドライブ先で食事させたり、お友達のお宅で食べさせてみたり、食事の時間をずらしたり、1食分抜いてみたりしてみてはどうでしょうか。

そうした変化に対応できるようになれば、緊急時にもコーギーたちはあわてることなく、食事をとることができると思います。最悪の場合環境が変わり衰弱して病気になるというようなこともこの練習で防ぐとことができると思います。

ポイントは、周囲に他人がいても、知らない場所でも、車の中でも、ちゃんと食事ができるということです。私ごとですが、よくコーギーたちを連れて旅行に行きます。夜は必ずペット可の宿泊施設に泊まるわけではありません。

時にはサービスエリアの落ち着いた場所で真夜中に食事をする時がある我が家のコーギーたちですが、それも旅の楽しみでいつもと違う所で食べる食事もうれしそうに見えます。犬連れ旅行は準備など大変なことも多いかもしれません。

でも普段からコーギーたちと一緒に旅を楽しむ機会があれば、もし災害時に避難しなければならなくなり、車中泊や知らない場所で食事をすることになっても、きっと興奮することなく落ち着いていてくれるはずです。

私の家では普段の旅行は、人間もコーギーたちもストレス解消になって、なくてはならない行事になっています。そして楽しみながら、覚えたり練習できたりするなら、得をした気分になりませんか。社会勉強にもなる犬連れ旅行にレッツ トライ!!

お散歩のルール

コーギーはとにかく運動が大好きです。最近は室内飼いをされるオーナーさんがほぼ100パーセントですが、だからと言ってただ人間と一緒にテレビを見たり、休日もごろごろしたりだけなんてことになっていませんか。

それを繰り返しているとあっという間に本来の作業犬としてそなわった強靭な体も衰えてしまって、リードを見せてもなんの反応も示さないコーギーになってしまうかもしれません。お散歩はコーギーにとって楽しく、本来の美しい体系を維持するためにも必要不可欠でせう。

そのことをオーナーさんもよく理解してコーギーという犬種の飼育を始めてもらいたいと思います。ところでよくリードを千切れんばかりにぐいぐい引っ張って歩くコーギーを目にしますが、これはまったく飼い主が愛犬のリーダーになっていない証拠です。

トレーニングを重ねて飼い主の付けの合図で、ちゃんと横に付いて歩く練習をしましょう。ですが脚即歩行だけではやはりコーギーの行動要求を満たしてやることはできないので、嗅覚の優れた彼らの為にクンクン嗅ぎながら歩くことができるように工夫しましょう。

散歩の途中ににおいを嗅いでも良い場所を決めておいてあげるもいいかもしれません。住宅街では人通りがあるので飼い主について歩かせ、急ぎ足やのんびり歩きなどで変化をつけます。きちんとついてあるいたごほうびとして、公園では場所を決めて、自由に匂いを嗅ぎながら歩かせるという具合にします。

悪い例として、雄のコーギーは成長と共にメスの匂いや他の力の強い犬の匂いを気にしはじめて、外に出た途端、帰ってくるまでクンクンとあちこちにおいを嗅ぎまくり、それと同時にあちこちにおしっこをひっかけるマーキング行動をとりがちです。

これはマナーの点でも大変、見苦しいことですので、先に述べた飼い主の横に付いて歩かせ、そのご褒美として匂いを嗅がせる練習を徹底しましょう。またボールを投げる遊びなどはコーギー本来の性格にあった遊びなので、十分に広さがあり、周りに迷惑がかからない場所で、ロングリードなどをつけて、行うことをお勧めします。

ポイントはたかが散歩といえども、単調にならずに変化をもたせた時間にすることが、コーギーと共に生活をする上で大事なことですので是非実践してみて下さい。

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