コーギーのスタンダードについて

コーギー好きなら、コーギーのどんな体形が理想とされているのかよくご存じのはず?なんて言われた時に皆さんは苦笑いするかもしれません。そうではなくて、ええもちろん知っていますよ、と言える為の虎の巻代わりにしていただけたら、というお話です。

まずコーギーのネックとショルダーから始めます。首は適度な長さがあり、筋肉のついたしっかりしたものであること。また首から肩にかけては滑らかな曲線を描き、トップ・ラインはまっすぐに一直線であること。目の前のコーギーちゃんはこのようなイメージに見えますか?

キ甲は、はっきりしていること。静止、動作のいかんに関わらず、臀部の一番高いところよりも高くあること。後肢の駆動がきちんと伝達されるためにはこの高さが不可欠であり、低いと方に余分が付加がかかり、また駆動も効率よく伝わりません。

肩甲骨の角度は、地面から垂直に引いたラインより45度の位置が望ましいとされていますが、実際にはこの数字はほぼ不可能であるので、45度以内なら問題ありません。この角度を見るには、肩甲骨の上に手を置いてみて、肩甲骨の最先端から肘関節までのラインをチェックします。

肩関節の角度は90度が理想的となります。また上腕骨の方が、肩甲骨よりも若干長いほうが理想的です。なぜなら上腕骨が肩甲骨より短いと、歩幅も小さくなり、無駄のある歩様になってしまうからです。

そんなことを言われてにぴんとこないと思われるかたは多いことでしょう。でももしドッグショーでコーギーのラウンドする姿を見る機会があれば、上のお話を思い浮かべてご覧になって下さい。きっとすばらしいコーギーはどの犬か、ジャッジよりも早く見抜けてしまうかもしれませんね。

上腕(肩関節から肘関節まで)について。ペンブロークの上腕は短くなりがちですが、90度の肩関節を保つためには、充分な上腕の長さが必要になります。一般的には肩甲骨と上腕は同程度の長さと言われていますが、理想は肩甲骨より若干、上腕が長いほうがよいようです。

なぜなら上腕の長さがアルことで前肢における長いリーチが生まれ、牧羊犬に適した体となるからなのです。

前腕(ひじ関節から手首まで)につて。従来ペンブロークではあまり重要視されていなかった部分ですが、前腕の長さを全体のバランスに照らし合わせてチェックすることは以外に重要であることが今日ではわかっています。

前腕が短いと、斜面を下る際、前肢に過度に体重がかかることになり、体力の消耗につながります。前肢でささえる体重は60%が理想的であり、前腕が短いと75%程度支えることとなるのです。前方から見ると、前腕は胸郭に沿う形で若干外側に向かってカーブしているのが、理想です。

足(着地面)の間隔は肘の間隔より狭いこと。テリアのようにまっすぐに伸びる前肢は好ましくありません。我が家のコーギーちゃんは足が短くて本当に可愛いのよっ、と自慢げにお散歩仲間の方々に説明されている飼い主さんをよく目にします。

一言で足が短いといってしまってはそれだけのことなのですが、上で述べたような理想の形をもちながら、短い脚で一生懸命飼い主さんにくっついて歩くペンブロークの姿こそ、私が目にしたい一番のコーギーということになるのでしょうか。

どこかでコーギーに出会った時、体ばかりじっと見る人はあまりいないと思います。フレンドリーな性格のコーギーは必ず目の前に現れた人間にアイコンタクトを求めてきます。そして目と目が合った瞬間はっとさせられる魅力的な表情。

何を隠そうこの私もいまだにその出会いの魔法がとけずにコーギーを飼いつづけている一人です。しかしこのコーギー独特の愛らしいとろけるようなかわいらしさにはちゃんと理由があるのです。

では頭部について説明いたします。

マズル(口のまわり、口吻のこと)は細過ぎず、そして長すぎてもだめです。ペンブロークコーギーのマズルは幅狭になりがちですが、幅の狭いマズルは歯並びを悪くし、下顎も未発達になるので好ましくありません。

上から見た時の頭部の割合は、頭部5に対し、マズルの部分が3であることが理想的です。また頭部とマズルの線の延長は平行です。ストップ(おでこ)は目の形に影響しない程度にはっきりとした形が必要です。ほっぺたが張り過ぎているのもよくありません。

耳の形、これはペンブロークの表情のなかでもっとも重要なひとつですが、その形は大きめで、耳の先端と鼻先を結ぶ線が正三角形を作り、その時の角度は60度になります。
そして一番コーギーの価値を決める大事な点といってもいい、目です。

目の色は、表情がやさしくなるので濃い色が好まれます。太陽の下にいる時に目の色が薄く金色に見えるものはまさにキツネのような表情となり、ペンブローク・コーギーの可愛いさを大いにそこなう個体となってしまいます。

形は細過ぎず丸過ぎず楕円形がよく、たとえるならアーモンドの形をイメージしてください。イギリスのスタンダードは丸い目を支持しているそうですが、私はアメリカ系コーギーに多いアーモンドアイをしたコーギーに心奪われてしまいます。

なぜならそこには知性までもが感じられて、ただ丸いだけではぬいぐるみをイメージする可愛らしさだけが、きわだってしまうからなのです。生き物である以上やはり可愛い中にも存在をアピールできるそんな個体であってほしいと思います。

ここまで読んで頂いて、コーギーに対する見方が少し変わりましたか?そうあってほしいと願います。
スタンダードのお話はまだ続くのですが、ちょっと横道にそれてドッグショーにおけるペンブローク・コーギーの審査の仕方についてお話します。

長年、獣医師として、またウエルシュ・コーギー・ペンブロークのブリーダーとして活躍、現在はドッグショーにおける審査員活動も行っているチャールズ・クルーガー氏の審査のポイントを紹介します。

彼がペンブローク・コーギーを見る時に常に念頭においているのは、本来ペンブローク・コーギーがもつ牧畜犬としての資質がどこまで備わっているかということです。ポイントは二つ、他の動物に対する本能が強いかどうか、また牧畜犬としての動きに適した体かどうか、ということです。

もちろんドッグショーでは本能の部分は見ることはできません。が、体の構造はチェックできます。これだけ小さい体で牛や羊を追うのですから、敏捷な動き、強い筋力、すぐれたジャンプ力、そして臨機応変に状況に対応できる利発さが必要です。

まだ最後まで終わっていませんが、ペンブロークのスタンダード記事に出てくる体の各部分のチェック・ポイントは身体機能を最大限に生かし無駄のない動きをするために必要なものばかりです。牧畜犬として一日中、野外で働くためには消耗の少ない体が基本だからです。

そしてクルーガー氏はこうも述べています。
最近特に海外のジャッジの間では、ペンブローク・コーギーの頭部の審査に30~40%も重きを置く傾向があります。

クルーガー氏はこれは美観に重きを置きすぎるショーの弊害だと述べ、ペンブローク・コーギーにとって、頭部のルックスより体の構造のほうがはるかに重要であるとしめくくっています。

私は頭部の審査、美観ということこそ重要だと思い、繁殖もそこをめざして行ってきたので、氏の考えには少々ショックを受けてしまいましたが、本来牧畜犬としての働きが重視される犬種なだけに、やはり体の構造をおろそかしにて頭部ばかりの審査になってはいけないということです。

ちょっと横道にそれましたが、またペンブローク・コーギーのスタンダードについて。

コーギーの胸と後肢はどうなっているのでしょうか。

一般的には犬の胸は肘関節と同じ位置にありますが、ペンブローク・コーギーの場合は、肘関節より下がる深い胸が望ましです。しかし肘下半分くらいまで胸が下がるのは望ましくありません(前腕の短いペンブローク・コーギーによくある現象)。

上体が低いと見た目はきれいですが、ペンブローク・コーギー本来の理想には見あわないものです。胸郭は充分に発達して楕円形であること。樽のように丸い形は不適当です。また横から見たときに胸がしっかり突き出して、のどから胸にかけての美しいラインが求められます。

前進、加速、ジャンプなどの原動力を生み出すのが大腿部です。ここは厚みがあり力強い筋肉が求められます。大腿骨と骨盤は直角につながり、膝関節も深い角度が求められます。膝の角度が浅い個体は多く、きれいなカーブと後肢の充分なリーチと駆動のためには深い角度が重要なのです。

犬のかかとである飛節は地面に対して垂直になります。そして歩く際には、後ろに向かって少し蹴りあげるような動きが必要となります。後方から歩行を見ると、足の裏が少し見えるのが正しい形です。飛節は短いほうが強い駆動を生むので理想的です。

以上のことをまとめると、正しい胸の形は、しっかりと張りのある前胸であること。胸の深さは、肘関節の下までくる深いものが理想的です。後肢は正しい後肢の角度が求められます。骨盤と大腿骨は90度でつながります。膝関節は深い角度が望ましく、飛節は短いものが良いです。

余談ですが、飛節に関しては現在のドッグショーではその長さが長めのものが多くみられるようになりました。理由は現在のドッグショーにおいては駆動力よりも、より早く動かせるスピードを重視するあまり、飛節の長いものを選ぶようになったのではと思います。

しかしペンブローク・コーギーの本来の使命である作業犬としての駆動力を無視することはどうなのだろう、というのが私の最近のペンブローク・コーギーの審査を見ての感想です。

では最後にもっともコーギーの真価が問われる、歩き方、歩様について。

まず前から見た時に、その前肢はまっすぐ上げて前に出していること。無駄のない動きが理想的です。その際に手首の返しは不適切です。次に横から見た時、前脚の着地点は肩の下ではなく目の真下にこなければなりません。

これは足の短いコーギーにとっては容易なことではないわけですが、リーチの長い個体ではこれは可能となります。また横から見た時に、前脚と後肢の調和のとれたリズミカルな動きもポイントになります。また後肢も長いリーチが必要になります。

そして大事なのは背中のラインは動作中も常に一定であることが求められます。よくコーギーのお尻をフリフリしながら歩く姿が可愛いと表現されますが、厳密に言うとこういう動きはスタンダードではありません。

なぜならお尻を振るのは後肢のアンギュレーションの角度が浅い為で、その結果お尻を振る揺れは背中のラインにまで影響し、横から見た時に背中が浪打つように見えるのです。こういう歩様をするコーギーは、ドッグショーではやはり審査に悪い影響を与えます。

正しい歩様とは背線の安定と、前脚、後肢の正しい蹴り上げということです。特に後ろ足を正しく蹴っているかどうは後ろから見た時に、パットが見えるかどうかということを覚えておくといいと思います。

長くなりましたが、ペンブローク・コーギーのスタンダードとは静止した姿とムーブメント、動きが、それぞれ正しく表現されているかということを厳しく審査されなければならないのです。私たちブリーダーはこのスタンダードを頭に入れ、つねにスタンダードに近い個体の繁殖に努力しています。

ペンブローク・コーギーの変遷について、コーギーの繁殖の現状とは。最後にこれだけ紹介しておきますペンブローク・コーギーがアメリカに渡ってから半世紀以上がたちますが、この間にペンブローク・コーギーのルックスは随分変化をしました。

アメリカに来た当時は体は今より小さく足は長め、頭部は小さく先がとがっていてフォックス・テリアのような風貌でした。それは現在のきれいなペンブローク・コーギーの姿からは、かなりかけ離れた感じで、骨格においても今ほどしっかりしたものではなかったようです。

カラーはレッド一色がほとんで、白が混ざるのはあまり一般的ではありませんでした。現在のコーギーが当時と比べて一番大きく変化したのは、足が短くなって重心が低くなったこです。最近の傾向としてはやさしい表情の顔も重視されています。

現代のコーギーはキツネのようなきつい表情ではなく「可愛い顔」に人気が集まってきています。アメリカという国はスタンダードを作りあげる上で、やはり国土の広さからか、コーギーに限らずどの犬種においても卓越した力をもっています。

今ではペンブローク・コーギーもアメリカタイプと原産国イギリスのタイプでは一目でその違いがわかるほどです。アメリカタイプはひたすら上品な感じのする犬、イギリスタイプはあまり改良がくわえられていない粗野な、ややあらけずりなタイプに見えます。

私個人としては、良い個体を作り出すために何代にも渡って近親交配を繰り返し、骨格的に小さくまとまってしまったアメリカタイプよりも、個々のスタンダードにはやや甘さがあるものの、本来の骨格構成を強く出した体も一回り大きいヨーロッパタイプに引かれます。

今後の私の繁殖をどのようにしていけばいいのか。できればコーギー本来の魅力を持つヨーロッパタイプを踏襲しつつ、アメリカタイプの垢抜けた形も取り入れていければと思っています。でもこれはあくまで理想なので、やはり無理のこない繁殖を一番に考えるつもりでいます。

どんなコーギーが理想なのか・・・上でお話したことをまとめてみます。長々と読むのが面倒な方はこの部分だけでもお読み下さい。

ウエルシュ・コーギー・ペンブロークはイギリスのウエールズ南西部の土着犬です。祖先犬は1100年代にヘンリー一世がイギリスに連れてきたフランドルの織物師たちの犬であったとも伝えられています。

ウエールズ人がいつからペンブローク・コーギーを作業犬として飼うようになったのかは定かではありませんが、牛飼いのパートナーとして存在していたことは確かです。そんなDNA(遺伝子)を持っているペンブローク・コーギーは、咬むことも大好きだし、吠えることも得意です。

咬むことも、吠えることもコーギーたちの日常の与えられた仕事の中では、ごくあたりまえに行われていた行為であり、仕事を全うするためには運動性能だって、並外れたものをもっていなければなりません。

そのため彼らは疲れを知らないのではと思うほどタフです。最近我が家にヨーロッパからやってきた雄のコーギーは素晴らしい血統を持っており、まさに絵に描いたような容姿をしたコーギーです。それは正しい繁殖をされてきた証であると思います。

そしてその気性もまさに上で述べたコーギー・ペンブロークそのものと思うような活発で、明るいキャラクターの犬です。この我が家にやってきたコーギーをみていると、いつもつい同じことばかり考えてしまいます。

一時期、日本ではコーギーブームとなり爆発的に繁殖が繰り返された結果、容姿も気質もこれはいったいコーギー・ペンブロークであるのか?と目をおおいたくなるような個体が莫大にふえて、そしてそれが日本各地で飼われる結果となってしまったのです。

正しい骨格構成をもっているからこそ、ペンブローク・コーギーの活発な運動能力は発揮されます。しかしそうではない個体では、いくら走りたい運動したいという気持ちがあっても、まさに体がついていかない状態になってしまいます。

上でも同じことを述べていて、重複しますが、よく日本人はコーギーはお尻をフリフリ振って歩くモンローウォークが可愛いなんて表現をよく使います。これも私たちブリーダーからすると顔をしかめる表現でしかないのです。

正しい骨格構成をもったペンブローク・コーギーは決してお尻をフリフリして歩いたりはしません。それは人間のトップモデルが一本の線の上を正しい歩様で歩くのとまったく同じ、歩き方といいますか、お尻は上下左右に揺れることなく、つねに前方へまっすぐに移動していくものだということを覚えておいて下さい。

我が家のミルトンもその血液を有する、アメリカの名血ゲイブ
CH (US) Tallyrand No Greater Love

ペンブロークとカーディガン 二つのコーギーの違い

最近では尻尾を残すペンブロークも増えてきましたが、やはり単純に尻尾がある方がカーディガンでないのがペンブロークであると思われていることも多いので、二犬種のちがいについてお話ししておきます。ではまず歴史的背景や地理的要素等について。

ウェルシュ・コーギーはスエーディッシュ・ヴァルフントやランカシャー・ヒーラーなどの犬種と全く関わりがなかったとは一概に言い切れません。これはペンブロークとカーディガンに関してもいえることで、1925年までは、この二つの犬種がかけあわされていたこともあるそうです。

もちろん、両コーギーの生まれ故郷のペンブローク州とカーディガン州はお隣同士ですから、人為的にでなくともこれらの犬種が交わることがあった可能性は充分に考えられます。こうした背景にもかかわらず、ペンブロークとカーディガン種は全く別の犬種であるという説もあります。

それによると、ペンブロークはテリアやスピッツ、またはたスキッパーキーなどの系統、カーディガンはダックスフントなどの系統を受け継いでいるといわれています。この説の是非はともかく、イギリスのケネル・クラブはこの二種の違いを認め、1934年にはこの二つの犬種が別々のものであると公式に認定しました。

クラブ代表の話によると、ペンブロークとカーディガンの違いは非常に著しく断尾が世界的に禁止されても、この二つの犬種を見間違うことはないほどだ、と述べています。やはり明らかな違いは、尾のあるなしです。生まれてすぐに断尾してしまうペンブロークと違いカーディガンにはきつねのような立派な尾があります。

ペンブロークは、全体的にカーディガンよりも、こぶりにできていて、胴の長さも短めで、骨格もやや小さめです。ペンブローク・コーギーはカーディガン・コーギーにくらべると耳も小さめで、やや尖っているのが特徴です。

足が短いので有名なコーギーですが、ドイツ、フランス、オランダのドッグショーで見かけるタイプはイギリスやアメリカのものよりやや足が長いタイプが多いようです。しかし被毛の質や骨格などを総合してみると、アメリカ、イギリスタイプはやや鑑賞の要素が強いようです。

従来の目的の牧畜犬としては適さないように思うとイギリスのコーギークラブの代表は述べています。しかしこの点はコーギー種に限らず改良を進めドッグショーでしのぎをけずる水準に達することを目的として繁殖されている犬種は、どれも本来のその犬種のルーツからは離れてしまう場合が多いようです。

それはドッグショーやスタンダードという人間が作り出したものの宿命かもしれません。ボーダーコーリー等は現在でも牧畜犬として使われていますが、ドッグショーに出陳されているものと比べる骨格構成なども違いショータイプを現役で使うことは不可能というくらい改良が進められてしまっている犬種もあります。

こういった現状のあるペンブローク・コーギーですが、一方カーディガン・コーギーは、骨太でがっしりとした体型を維持し、胸にも厚みがあります。これは、丘陵の多いカーディガン州で、急斜面を登り降りしながら仕事をするのに適したように、心臓や肺が発達したためだと伝わっています。

耳もペンブロークよりも大きく、やや丸みを帯びています。ちなみに、ペンブローク州は斜面のほとんどない平地の多い州なので、ペンブロークとカーディガンの肉体的な違いは地理的条件が大きく影響しているといって間違いないと思われます。

皮肉なことにカーディガン・コーギーは知名度も人気もペンブローク・コーギーほどではなく、その結果現在でもあまり改良が進んでおらず、もともとの姿をとどめている個体が多いように思われます。次に毛色についてお話しします。

ペンブローク・コーギーは従来、深みを帯びたレッド(赤みかがかった茶色と白)、黒茶白が混じりあったトライカラー、数は少ないですが黒とタンだけのもの、これらが主な毛色でした。1980年代の初頭から1990年代にかけてフォーン・タイプが主流となり、レッドの色の濃いものは少なくなっています。

10年ほど前はレッドでも濃い色の個体が多く見受けられました。しかし今は濃い色のレッドは少なくなり、そのかわり圧倒的にフォーンと呼ばれる薄目のレッドの人気が高いようです。私的にもこの毛色の方が濃いレッドよりも、なんとなく品があり可愛く見える気がします。

濃い目のレッドは目の色が明るい個体になりがちで、やはり目の色はダークの方が断然可愛く見えてしまうからです。他の毛色にはトライカラーという黒茶白の3色からなる毛色と、あと数は圧倒的に少ないですが顔の部分も黒いブラックマスクのトライカラー、レッドの毛のほとんどないセーブルカラーがあります。

現在のコーギーの人気はやはりフォーンに集中しているようで、世界のドッグショーに出陳されているコーギーたちのほとんどが、フォーンカラーとなっています。毛色はオーナーの好みに左右されることが多いですが、最近は濃いレッドのタイプよりも薄いフォーンの方が圧倒的に支持されているようです。

カーディガン・コーギーに関しては、毛色のバリエーションはペンブロークより多く、レッド、黒、ブリンドル(虎模様のようなまだら)、トライ・カラーにレッドの斑点、ブリンドルのぶちにトライ・カラー、さらに黒と白にブリンドルの斑点とさまざまです。

最後の白と黒にブリンドルの斑点の場合、斑点が非常に目立たない所にあり、一見したら白と黒だけに見える場合もありますが、純粋に白と黒だけのカーディガン・コーギーは存在しないとされています。

このペンブロークとカーディガン・コーギーの二つの犬種は、また外見だけではなく性質にも大きな違いが見受けられます。ペンブロークはカーディガンよりも、外交的で気性のやや激しいところがある一方、カーディガンは見知らぬ人に対して非常に警戒的な態度をとる場合があります。

だからといってカーディガンが臆病かというとそうでもなく、どちらかといえば、何事にも慎重に対処するようなタイプといった感じの犬種です。私も一度偶然に旅先でカーディガン・コーギーを連れているオーナーに出会ったことがあります。

彼らは私の側にいたペンブロークよりも大柄で、見知らぬものに対して決して媚を売るような態度はとらなかったので、先に述べた犬種の特徴を確認する良い機会に出くわしたと思い、ついうれしくなったことを覚えています。

今日本で圧倒的に人気があるのは、ウエルシュコーギー・ペンブロークの方です。カーディガン・コーギーの姿は日本ではほとんど目にすることはありません。同じ話の繰り返しですが、二種の違いは、単純に尻尾の有無と認識するコーギーファンシャーが日本では圧倒的に多かったということ。

確かに見た目の違いで尾があるなしは大きくインパクトを与えます。しかしこれも何回も述べた話ですが、この二種はあきらかに起源の違う犬種から作り出されていて、その歴史の中ではこの二種の交雑繁殖というか自然交配も多数行われた結果が、今いるペンブロークとカーディガンコーギーとして存在しているのです。

ですから、やはりこの2種類のコーギーには共通する部分は多数あります。胴が長いこと、足が短いこと、耳が大きいことなどなど。しかしよく観察すると違いもはっきりとあります。その違いが日本での人気を分けている理由ではないかと私は思います。

まずカーディガンは顔がペンブロークよりも大きく精悍な感じが強く、性格もカーディガンは人になつきにくい個体がおおかったりと、人間が大好きなペンブロークとは明らかに違う資質を持つものも多かったようです。

しかしどんな犬種でも飼いにくい点は改良を加えていくのが、ブリーディングの使命であり、近年のカーディガンは一昔前の犬とは違って家庭犬として、世界の愛好家に大変人気のある犬種として、迎られています。

只このような高水準なカーディガンコーギーが悲しいことですが、日本には皆無と言っていいほど、輸入されておらず、わすかに日本で飼われているカーディガンはこれも悲しいことですが、やはり世界的な犬質の水準からみるとはるかにランクは下がってしまいます。

それで今だに日本人の間ではこの二種の違いは尻尾の有無くらいしか理解されていないのではないでしょうか。現在はフェイスブックなどの便利なアイテムを使い、世界中の自分の好きな犬種を見つけることができます。

ドッグショーで活躍する世界のトップクラスのコーギーでさえ飛行機に乗れば会うことも可能なほど世界は狭くなり、ブリーディングの情報も少しの努力で知ることのできる便利な時代に私たちは暮らしています。

日本のペンブローク・コーギーも随分世界の水準に近づいてきたと思いますが、カーディガンに関してはこれから各ブリーダーがますます勉強心をもって取り組んでもらいたい犬種なのではないでしょうか。

ドッグショーで活躍中のカーディガン・コーギー
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