ドッグランのマナーについて(去勢、避妊の意味)
当犬舎のコーギーをお客様にお譲りする際にもよくお話しすることですが、コーギーはとても活発で遊ぶことが大好きな犬種です。時にはリードにつながれて歩くお散歩以外にも、自由に走りたいだけ走らせてあげることが必要です。
しかし私たちの周りにはなかなか犬をノーリードにして走り回らせて良い場所がありません。またきちんと呼び戻しのしつけが出来ていないままリードを外すと、中にはうれしさのあまり飼い主の制止もきかず走り回り、犬が苦手な人の所へ行って飛びつくことがあるかもしれません。
そしてこれが一番恐ろしいことですが、車が走る道路へ飛び出してしまうことです。こういう危険なこと等を一切気にせずにコーギーたちを思い切り遊ばせてやることができる施設、それがドッグランです。最近は全国的に随分設備の整ったドッグランも増えてきました。
そこを利用することでコーギーたちも私たち飼い主も安心安全に過ごすことが可能な、大変ありがたい場所というわけです。しかし有料のドッグラン等は料金さえ払えば、あとは犬まかせ、さあ思いきり遊んでおいでなんて思われているオーナーさまも多いのではないでしょうか。
まずドッグランである以上、犬種を問わずいろいろな犬がいて、そして性格もいろいろな犬たちがお互い予備知識もなく遭遇する場所、それがドッグランであると認識しましょう。ドッグランに入場する時に利用規約を事細かに掲げてある所は意外と少ない気がします。
しかし、そういうものがなかったとしても、各犬のオーナーがドッグランのルールというものを、ちゃんと理解して利用するのが常識であると私はいつも思います。それさえできていればドッグラン内でのトラブル等はありえないはずです。
しかし現実はドッグラン=トラブルの方程式みたいになっている所も多くて、そういう場所は初めから入場して遊ぶことさえためらってしまいそうです。犬のリードを放してもいい場所であっても自分の愛犬から目を離していい場所では決してないことを、忘れないでおきましょう。
先ほども言ったように、ドッグランはいろいろな性格の犬が利用しています。初対面の犬同士の対応はうちの子は大丈夫と過信しないで、ちゃんと犬同士の挨拶ができているか飼い主が確認してから遊ばせてあげるようにしましょう。そして愛犬の様子をよく観察することです。
尻尾は嬉しい時にだけ降るものではありません。コーギーに尻尾はなくても相手の犬が尻尾を振っている場合、相手が緊張しながら首の辺りの毛を逆立てていたりしないかよく確認して下さい。ラン内ではボールやフリスビー等で遊ぶワンちゃんも多いかと思います。
しかしよく観察していると、ボールやおもちゃ類に執着が強すぎて、他犬が近寄ると取られることを恐れて唸り声をあげて威嚇したり、逆にボールを追いかけていてもすぐに他のワンちゃんに持って行かれてしまったり。
このようなことはオーナーがきちんと自分の愛犬の動きをチェックしていれば、対処できる行動です。こういうことも見過ごしているとあっという間にケンカになって慌てて駆け寄って引き離しにかかるといった、あまり良い気分にはなれない状況を作ってしまいがちです。
次に述べることは、私がもっとも嫌なことについてです。犬を飼ってらっしゃる方ならマウンティングという犬の行動はご存じかと思います。要するにオスメス関係なく一方の犬が相手の犬の上に馬乗りになり、腰をふるという仕草です。
これはよく発情と勘違いされる方も多いかもしれませんが、確かに発情期にはこのような行動を犬はとります。しかしほとんどの場合、特にドッグランでは発情中の牝ば絶対に入場できないので、この行動は上下関係を決めるためだけに、している行動です。
ドッグランは遊ぶ所であって、上下関係を決める場所ではない、と犬に諭しても理解することは無理です。こういうマウンティング行動をする犬は普段から気が強く、リーダー気質を持つことが多いということを飼い主が理解しましょう。
そういう犬は自分の下部ばかりがいる所なら、安全かもしれませんが貸切ランでもないかぎり、飼い主が対応できなければドッグランを利用するべきではないと思います。愛犬に初めから終わりまでそこで初めてあったばかりの犬がつきまとい、上のような行動をされたら楽しい気分も吹き飛びませんか。
普段からマウンティング行動をする犬は、やはり飼い主がきちんとしつけをして、やめさせる習慣をつけて、それを完璧にした上でドッグランを利用してほしいと強く願います。どんなに気の優しい雄でもこれをされて黙っている子はそうはいないでしょう。
よくご自分の愛犬が、よその子に乗って腰を振っているにもかかわらず、おしゃべりに夢中になっている飼い主さんを目にする時がありますが、いちいち注意をしても気まずいだけですので、私の愛犬が被害にあった場合は、私は即退場するようにしています。
他にもまだまだドッグランのマナーや犬同士の問題行動はあるかと思いますが、とりあえず上で述べたことだけでも各オーナーの意識が高まれば、随分気持ちよくドッグランも利用できると常々思っていることです。
最後になりますが、特に私の犬舎で子犬を求められるオーナーさまに強くお願いしたいことがあります。それは雄犬は去勢、牝犬は避妊手術をできるだけ早く受けさせたうえで飼育をするということです。よく自然の摂理に抗うようなことはしたくないとおっしゃるお客様がいらっしゃいます。
しかし純血種の存在自体が自然ではないのです。野生の動物ではありませんので、発情にともなうトラブルは人間の手によって改善できるのだから、だったらやはり飼育者の責任において、こういうことも行うべきことではないかと私は思います。
特に雄犬は去勢することにより、ほとんどの問題行動を抑えることが可能となり、牝犬はヒートの間中隔離されたりするストレスから解放され、また早期に手術を受けさせることにより病気予防にもなりますので、是非オーナーさまには考えて頂きたいと思います。